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鳩時計の仕組み&完全ガイド

追記更新
Written by 芹澤(森の時計 鳩時計マスター)


鳩時計について詳細に解説した世界一詳しい
「鳩時計の仕組みand初心者にも優しい完全ガイド」



森の時計にご来店頂くお客様は本格的な鳩時計をお探しの方が多くいらっしゃいますが、多くの方は鳩時計をじっくり見るのは初めての方が多いです


日本では鳩時計についての情報が手に入りにくく、実際に見れる場所もほとんどありません

そもそも「鳩時計」とはどういう物なのか、どう選んだらよいのか、とお迷いの方が多くいらっしゃるのが現状です


そこで鳩時計専門店 森の時計ではそんなお客様のため、できるだけシンプルに、わかりやすく、そして楽しくドイツ鳩時計の魅力をご紹介させて頂きたいと思い、この「鳩時計完全ガイド」 をお作り致しました

この鳩時計ガイドがお客様にとって正しい一台へ導いてくれる事を祈ります



こちらも合わせてごらんください
森の時計 鳩時計Youtubeチャンネル
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目次

  1. 鳩時計とはいったい何?どんな時計?
    歴史
    デザインについて
    素材
    日本における鳩時計
    鳩時計実は鳩じゃなかった
    クォーツ鳩時計の誕生
     
  2. 鳩時計を選ぶ前に知っておきたいこと
    内部機械の違い(クォーツ式・機械式について)
    生産
     
  3. 機械式鳩時計について
    機械式鳩時計の基本設計
    鳩の声の仕組み
    鐘の音
    オルゴール

     
  4. 壁への設置 取り付け
    使用方法
    時間の合わせ方

    価格帯について





1. 鳩時計って何?どんな時計?

1700年代の終わり頃、ドイツ黒い森の奥の方でとある部品が発明されました

それは二つの音の高低さで鳥の声を疑似的に鳴らす装置の発明です

そもそもこの発明は現代でいうオルゴールのような自動演奏装置の一部に使用するために作られたものでした


これを発展させ時計に組み込んだものが鳩時計


ドイツ シュヴァルツヴァルト地方(黒い森地方)は自然が多く、水が綺麗な地域

もともとは農業や林業が盛んだった地域なのですが、産業や技術の発展に伴い1800年代頃からVillingen という街を中心に精密機械や時計工房が増えていきました

それまでこの地方の人々は農業を生業とし、冬の間に身近にあった豊富な木材を利用して彫刻人形等の製造を副業にしていましたが、2つの笛による疑似的な鳥の鳴き声と精密機械を組み合わせ、現代まで続く歴史的なからくり時計を作ったのです


デザインの変化

1800年代半ばまではからくりなどが少ない比較的シンプルな鳩時計が作られていました

平らな板にハンドペイントで花を描いたシールドクロックと呼ばれる時計からはじまり、その後装飾が施されていきます

シールドクロック

※こちらは現在も作られているモデルです 鳩が鳴くだけのシンプルなモデル


デザインが大きく変わったのは1800年代後半
鳩時計工房を集めたデザイン大会が行われ、その当時ではセンセーショナルなデザインの鳩時計が生まれます

これが現在も続く、彫刻モデルの誕生です


5リーフクロック

一見、こちらの方が先のデザインよりも古いんじゃない?と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、実は彫刻モデルの方が新しいデザインなのです

その差は30年から40年ほど
デザイン大会で優勝した木彫り彫刻のデザインをこぞって各工房が生産し始めました

彫刻のデザインにはストーリー性のあるものや、シンプルなものなどいろいろなデザインがございます

デザインのバリエーションが大きく増えるきっかけになりました

例えば、「鳥の家族」シリーズに見られる、ひな鳥が親鳥に守られているような温かみのあるデザインやハンティングがデザインされた物、上記の写真のようにカエデの葉がデザインされた物などがあります



それからさらに半世紀ほどたった1900年代中頃、鳩時計に革命的なデザインが生まれます

山小屋鳩時計の誕生です

山小屋時計が生まれたことにより、デザインやからくりのバリエーションが無数に増えていきました

初めの頃のデザインはシンプルに薪割りをしたり、ビールを乾杯するだけの物でしたが、やがてオルゴールを内蔵することにより動きのバリエーションに変化をもたらしました


これらのデザインは現在でも工房ごとに変化を遂げながら生産され続けております

これに加えて現代では挑戦的なモダンデザインのクロックなども一部出てきており、いつか歴史として語られる日が来るかもしれません



素材

鳩時計に使用される木材には主にリンデンバウム(西洋菩提樹)とスプルース(トウヒ)という木が使われています

木工細工を作る工房の裏手には大きなバックヤードがあり、沢山の木材が乾燥のプロセスに入っています

ここで5年~7年ほど乾燥させた木材が晴れて鳩時計になっていくのです


どの鳩時計も最初は無塗装の白木です

この状態で時計の本体の組み立てや、彫刻作業が進められていきます



時計の木工作業が終わった後に塗装のプロセスへ進みます


出来上がった部品をそれぞれのデザインに合わせてニスを染み込ませます


乾燥と塗装を交互に3回ほど繰り返して伝統的な鳩時計の深い色合いに変化していきます


最後の乾燥が終わった後、部品の表面を柔らかいブラシでこすり表面の艶出し加工を行います


手作業で行うこの作業は本格的な木工鳩時計ならではのプロセスです


彫刻モデルの上部部品が完成しました




日本における鳩時計

お客様の中には鳩時計は日本のモノと勘違いされている方もいらっしゃるかもしれませんが、実は日本で鳩時計が生産されたのは戦後のことでございます

一番最初に鳩時計を生産したのは「手塚時計」という時計メーカーだと言われております

手塚時計は戦前から続く輸入精密部品の問屋「手塚商店」が戦後に立ち上げた時計部門でした

女性社長である三橋可免さんが戦後に自分たちの知識や技術を平和利用したいと考え、平和の象徴であるハトをモチーフにした「手塚の鳴き鳩時計」という名で鳩時計の販売を開始したのが始まりです

私どもの推測では、手塚商店時代からアメリカやドイツから精密部品を輸入している傍ら、現地からの贈答でドイツの鳩時計を三橋社長はお持ちだったのだと思います
と言いますのも、実は初期の手塚時計の鳩時計ムーブメントは現代でも変わらないドイツREGULA社の内部ムーブメントと全く同じ設計、同じ構造であったからです

物資もまだ足りない戦後、平和の祈りを込めた鳩時計は当初輸出を考えていたのだと思いますが、ユニークな時間を刻むこの時計は復興の中で人々のあこがれのインテリアとなっていき、日本国内で大ヒットしたと言われております

日本人の中に鳩時計を懐かしむ心があるのも、三橋可免が広めた鳩時計が多くの方の記憶の片隅に残っているからだと思います




鳩時計の鳥は実は「鳩」じゃなかった!

冒頭からここまで「鳩時計」と呼んでいるこの時計ですが、実は鳩時計に住んでいる鳥は「鳩」じゃありません


鳩時計と呼んでいるのは日本人ばかりでして、これは先述の「手塚の鳴き鳩時計」が省略されて鳩時計と呼ばれるようになったからでした

本当の名前は「カッコー時計」英語表記ですと「Cuckoo Clock」と記されます

本場ドイツでも「Kuckucksuhren」、uhrenは時計という意味ですので、最初の「Kuckuck」がカッコーという意味になります

鳩時計の音をよく聞いてみてください、カッコー、カッコーと聞こえませんか?


ドイツではカッコー鳥はラッキーアイテムと言われており、森の中でカッコーの声が聞こえたら小銭入れをじゃらじゃら鳴らすと金運がアップするそうです

平和の象徴である「鳩」、金運アップの「カッコー」どちらも平和でうれしい名前です。

なお、カッコーの和名が「閑古鳥」で商品名にはあまりにも寂しいから「鳩時計」にしたというユニークな説もありますが、これにつきましては残念ながら文献は無く、あくまでも言い伝えのようです

先述の「平和の願いを込めた鳩時計」ということが文献もあり現時点では一番正しい情報と言われております








クォーツ式鳩時計の誕生

1970年代頃より鳩時計に新しいレボリューションが起こりました

日本の時計メーカーが当時MADE IN JAPANで生産したクォーツ式鳩時計の登場です

現代でもご愛用頂いているかたが多くいらっしゃる鳩時計ですが、現在では日本製と呼べるものはほとんど作られておらず、自社の海外工場で生産したものを日本に輸入している物がほとんどかと思います

ドイツの各メーカーでも電池式の鳩時計の生産を1980年頃より開発が進み、1990年代には販売が始まりました

光センサー付きの自動消音鳩時計や、音量調節のできるもの、これまで2曲が限界だったメロディも12曲内蔵されたものなどより使いやすく楽しいモデルが誕生しています

森の時計でご紹介しておりますクォーツ式鳩時計はドイツ現地生産されている鳩時計です
一部、森の時計のために特別仕様に変更しており、現地モデルよりもさらにこだわった、質感が高い仕様で日本全国にお届けしております








鳩時計を選ぶ前に知っておきたいこと

鳩時計を選ぶ際に皆様はまず何を考えますでしょうか?

使いやすさ?デザイン?価格?大きさ?色合い?

もちろん人それぞれの選び方がありますので、多くの方にとって良いヒントになるようにご説明をさせていただきます



二種類の内部機械とその違い

鳩時計は内部の機械構造が大きくわけて2種類ありましてムーブメントによって使い方が異なります




「電池式鳩時計」と「手巻き式鳩時計」の違いについて


「電池式鳩時計」について

クォーツ式鳩時計とも呼ばれる鳩時計は電力を動力として動く鳩時計で、電池を挿入します

現代のクォーツ式ムーブメントを内蔵し、時計の精度が高く、また明るさのセンサーによる自動消音や12曲のメロディなど実用性が高い鳩時計です

便利で手間がかからず、また時計の精度も高いためギフトなどでお選び頂くことも多い鳩時計です

振り子は電磁石で動くものが多く、カチコチという時が進む音は聞こえません

カッコーの鳴き声はメーカーによって異なりますが、森の時計で扱っておりますモデルはすべて本物のカッコーの鳴き声をサンプリングした音色で森の中にいるような音色がします

使用する電池は単一または単二電池であることが多く、半年ほどに一度電池交換を行っていきます

一時間に一度鳩が時報を知らせるモデルが多く、機械式時計のように毎半時になる時計はあまりありません
(昔の電池式鳩時計には毎半時になるものがありました)

電池を入れ、時間を合わせたら電池交換までは特別にすることは無く、現代の時計と同様に手間なく使用することができます

電池が低下すると徐々にカッコー鳥の動作が緩慢になり、電圧が不足すると力尽きて途中で止まったままになったり、出てこなくなります

電池交換することでまた時計も時報も復活し元気に鳴き始めます




「手巻き式鳩時計」について

古き良き時代から続く伝統的な機械式時計

時計につながれた鎖におもりを掛けることにより、重力の力で内部機械の歯車を回転し、時計の針や、カッコーの時報、オルゴールなどを動かします

おもりはだんだんと位置が下がってきて、床についてしまうと時計は動力を失い止まってしまいます

1日巻き、8日巻きと2つの種類があり、1日巻きは一日一度、8日巻きは約1週間に一度ほどおもりを手動で巻き上げて使用します

1日巻き鳩時計には275g~370gのオモリを使用します
8日巻き鳩時計には1260g~1600gのオモリを使用します

シンプルな鳩のみのモデルには2本のオモリを使用します
オルゴール付きのモデルの場合は3本のオモリを使用します

1日巻き鳩時計(基本構造)の鳩時計の場合、正面向かって右側のオモリは鳩(時報)のオモリ、左側が時計の運針のオモリであることがほとんどです
オルゴール付き1日巻き鳩時計(基本構造)の場合は、一番右がオルゴール、真ん中が鳩(時報)、左側が運針です

8日巻き鳩時計(基本構造)の場合、正面向かって右側が鳩(時報)、左側が運針
オルゴール付き(基本構造)の場合、一番右が鳩(時報)、真ん中が運針、左側がオルゴールのオモリです

※デザインによって異なります


機械式時計のチェーンについて

鎖の長さはどちらのムーブメントであってもおよそ160㎝程本体から下に垂れ下がります

オモリを掛ける側の端にはフックが付いており、おもりを吊り下げます
反対側の端にはストッパーが付いており、オモリが一番下に下がってしまっても時計内部に鎖が引き込まれないようになっています

1日巻きと8日巻きの鎖は太さと大きさが異なり共通部品ではありません

色合いは金メッキがされた物や、あえて古美の色になっているものがあります






時計の精度は昔ながらのボンボン時計と同様に振り子の刻みによって速度が決まり、季節の変わり目などで振り子の位置を上下に微調整して時計の精度をチューニングします



実用性が高い=電池式鳩時計(クォーツ式鳩時計)

趣味性が高い=手巻き式鳩時計(1日巻・8日巻)

とカテゴリー分けをする方もいらっしゃいますが、鳩時計はいずれも趣味性が高くまた実用に耐えうる精度を持った時計です


鳩時計の生産について

鳩時計はドイツの南西部 黒い森地方(シュヴァルツヴァルト地方)で生産されています

森の時計でご紹介する工房はいずれもドイツ鳩時計協会認定の工房で生産された鳩時計のみです
お土産品の鳩時計などは取り扱っておりません


鳩時計は一人の人間が一から十まで生産するわけではありません

それぞれが得意分野で分担し、一台の鳩時計を作っています


木工所・・

主に鳩時計の外観を生産する工房です

ドイツ製鳩時計は主にリンデンバウム(西洋菩提樹)の木材を使用し、デザインに合わせて加工したり彩色をしています

立体的な彫刻デザインや複雑なパターンはカーバーと呼ばれる彫刻師によって生産されます
独立したカーバーは各工房からオファーがあり、時計の生産を行っています


彩色・・

ハンドペイントの鳩時計も特殊技術です

立体的に作られた鳩時計にハンドペイントを施し、デザインにさらに温かみを与えます
同じデザインであってもハンドペイントによって若干デザインのタッチが変わっていたりします
ペインターは各工房に1人~数名いることが多いです


最終工程(組み立て・検査)・・

鳩時計の生産において一番重要なのは最終工程です

からくりの動作や鳩の鳴き方などがここで決まります
各工房には数名のマイスターがいますが、その中でもトップマイスターが最終的な品質検査を行っています

動作が甘い時計はここでもう一度組み直され、より品質基準の高いものを生産致します

森の時計ではドイツ現地と同様に届いた鳩時計はすべて検査・調整を行ってから日本全国の皆様へお届けしております

ドイツの鳩時計は繊細であるが故に国際輸送の激しい振動などで微妙に歯車の位置が変わってしまうことがあり、到着してすぐに使える状態でないこともあります

(長年ご愛用頂きたい時計ですので、最初の調整がとても重要であるのと共に、何年か使用されたのちにでもご相談頂けるように体制を整えております)




3.機械式鳩時計の仕組み

機械式鳩時計の内部(基本設計)

機械式鳩時計の基本構造は上記の通りです
メインムーブメント、フイゴ2本、鳥部品、およびチェーンで構成されています

メインムーブメントに掛けられた鎖をオモリが重力の力で引っ張ることにより内部の歯車が回転しモーター(歯車付)の役割を持ちます
そのモーターの歯車が次の歯車を回し、また次の歯車につながっていき、時を刻んだり時報を奏でたりする仕組みになっています

機械式鳩時計の歯車は常に重力によって動力が効いている状態で、それをストッパーによって勝手な動きをしないように適時制御されている仕組みです


ドイツ鳩時計のムーブメントシェアほぼ100% REGULA社製ムーブメント

過去には独自のムーブメントを製造し、鳩時計を作っていた時計工房もございましたが、現在はほとんどの時計工房はドイツREGULA社製の鳩時計ムーブメントを使っております

夜間の鳴り止めや、鎖の落下防止カバーなどが付いている型番もあり、扱いやすい優秀なムーブメントです

時報の回路と時計の回路が一体型になっているものが多く、上記の写真のようにダンス人形を回転させる機構付きの型番もございます

森の時計で扱っている鳩時計はHubert社(現在休業中)を除き、全ての機械式鳩時計にREGULA社のムーブメントが内蔵されております。



鳩の声の仕組み


鳩時計の内部に組み込まれたふいごの装置が風を起こし、筒状の笛が交互に鳴くことで鳥の鳴き声を疑似的に出しています
前述の通り、笛は対になっていて、高音と低音でカッコーの声を作る仕組みです


ふいごの部品は上下に動きます
袋の部分は現在は耐久性のある紙素材でできています

古い鳩時計では薄くなめした皮革素材の物が使われている場合がありますが、経年の劣化で穴が空いてしまいますと空気が漏れてしまい音が弱くなってしまったり、鳴らなくなってしまいます。
20年から30年もするとどのような素材であっても弱くなってしまうのは避けられませんが専門店であればサイズに合わせて必ず何対か持っている部品の一つです

時計本体が大きくなると、笛の長さが長くなり音程が低く重みを感じる鳴き声になり、本体が小さく可愛らしいサイズになると鳥の声も高く可愛らしいものになります

鳴き声は工房によってそれぞれセンスが異なりますが、森の時計では届いた鳩時計の鳴き方も検査をさせて頂き一番良き音色で調整してお渡ししております

速度調節などは難しい部品ですが、特殊な技術があれば多少の調整までは可能です

ふいごが上下する力を使って鳥の尾を持ち上げ、鳴く際に鳥が下を向くからくりになっています
この調整が少しでも狂うと鳥が頭を下げなかったり、鳴き終えた後に扉が閉まらなかったりするため重要な部品です




鐘の音


鳩時計の裏蓋にはコイル状の鐘が仕組まれています
メインムーブメントのほぼ中央手前側にハンマーがあり、時報の際にハンマーが上下に動きコイルの中央を叩きます

ジーン、ジーンと独特な鐘の音がするものがスタンダードな鳩時計の鐘の音色です
大きめの鳩時計で内部に余裕があるもので一部ベルが仕組まれているものもございます
デザイン上、屋根先にからくりで動く鐘がついているモデルはベルである場合が多いですが、実際には屋根のベルが鳴っているわけではなく、内部の鐘がなっているのです

こちらの音色も大きな時計ほど低めの音となり、小さな時計ほどコイルが小さく高い音が鳴ります

現地から届く鳩時計の中にはハンマーと鐘の距離が工房出荷時よりも近すぎたり、遠すぎたりして鐘が鳴らなかったり、ノイズが生じたり、時には時報が鳴らないで鳥が止まってしまうような場合がまれに発生します
音にかかわる部品は特に検査時に念入りに確認し、正しく良い音が響くように調整いています

マンションなどにお住いの方で隣家との距離が近い場所に設置される場合、この鐘の音色がご近所様に聞こえてしまうのではないかと心配されるお客様もいらっしゃいます
特に打撃で音を作る鐘は響きやすいため、その様な場合は鐘を取り外し、時報の笛の音だけで使えるように調整差し上げることもございます
森の時計では将来的に鐘を戻せるように調整するため、もしこのようなご要望がございましたらお気軽にご相談ください


オルゴールについて

オルゴールが鳩時計に組み込まれ始めたのは1900年代半ばからと言われています

それまでの鳩時計は腕を上下に動かすだけのからくりばかりでしたが、オルゴールの回転軸を使い水車やダンステラスの人形などを回転させる動作が加わることによって鳩時計は華やかさを増したのです

彫刻モデルにもダンステラスの回転人形がデザインされ、オルゴール付き彫刻モデルが生まれました


オルゴール付き鳩時計には基本的に2曲のオルゴールが内蔵されております

特別なモデルを除き、曲は皆さんも良くご存じなエーデルワイスと少し馴染みが薄いかもしれませんがハッピーワンダラーという曲の2曲です

オルゴールのメーカーも数社ありますが、森の時計で輸入している鳩時計工房ではリュージュオルゴール社とジョバンオルゴール社のいずれもスイス製オルゴールが内蔵されております


音の違いを聞き比べてみましょう
デザインによって音の響きは異なりますので予めご了承ください

リュージュオルゴール エーデルワイス


ジョバンオルゴール ハッピーワンダラー


本体が大きく、デザインがシンプル彫刻モデルの方がほんの少しだけ音が大きくなる傾向です

実際には設置する壁面とも共鳴するため、環境によって異なります
※上記の動画は録音状況も異なります


オルゴール付きの鳩時計は無しのモノに比べて高級品であることがほとんどです

内部設計も複雑になる分生産や調整に時間がかかりますが、独特な動きと味わいがあり人気が高いです



取り付け、設置 使用方法

鳩時計は基本的には壁掛けをして使用します



1.鳩時計の設置場所を考えましょう


錘式鳩時計はぶら下げたおもりの重力を利用して振り子やオルゴールを動かす仕組みの時計です。

大型の8日巻き鳩時計では一つのおもりの重量が1500グラム(1.5キログラム)前後あり、時計の本体の重量とあわせて5キロ~10キログラム程ございます。


特にお子様がいらっしゃるご家庭では、チェーンを引っ張って遊んでしまわぬよう設置場所を十分御検討頂く必要がございます


理想としては柱や木の下地が入っている部分に大きなネジで留めますが、石膏ボードの壁にはボード用アンカーなどを利用して掛けることが可能です(森の時計では各種金具をご用意しております)



クォーツ式鳩時計の場合、下にぶら下がるオモリは装飾用の軽いものでございます


鎖も30㎝~40㎝ほどと短く、設置場所を選ぶのも難しくありません


石膏ボードの壁にも取り付けは簡単に行えます




こんな場所は錘式鳩時計設置に適しません


・ ドアのすぐ近く (開閉時の風圧により振り子が止まってしまう可能性がございます)

・ 廊下など人が行き来する場所 (おもりが下がっている際に頭や身体にぶつかる危険性がございます)

・ 窓やエアコンの側 (風圧により振り子が止まってしまう可能性がございます)

・ 下に家具が置いてある場所 (おもりが下までさがらないと引き上げる回数が増えてしまいます) など


商品に同梱させて頂いておりますネジは木の柱などに掛けて頂く事を想定した木ねじでございます。


石膏ボード壁用のアンカーをご使用頂き、ボード壁でもご使用頂けます。


※コンクリートの壁に設置の際はコンクリート用のネジをご使用下さいませ。

(設置について自信の無いお客様は内装業者様や工務店様にご依頼下さい)


鳩時計を高すぎる場所に設置してしまいますとからくりの動作が見えにくくなってしまいます。


状況に応じて設置する高さを決めて下さい。



ヨーロッパの説明書では最低でも床から約2.1メートル(7feet)の高さと記載されております。


かならず2.1メートルの高さに設置しないといけないわけではございません。


ただ、あまり低い位置ですとおもりがすぐに床についてしまい、錘を巻き上げる回数が増えます。


(おもりが床についてしまう場合はマットなどを敷き、床を保護することをお薦め致します。)




設置場所が決まったら


設置場所がきまったらネジを壁や柱に固定しましょう。


ネジは水平よりも若干上向きに取りけてください。

こうすることによって時計の背面がぴったりと壁に沿います。

(時計の背面が壁から浮いていると振り子に余計な摩擦が生じ止まりやすくなります)


ネジを固定した後には指で強度を必ず確認して下さい。


グラグラするような場合は時計を掛けずに、設置場所を再度御検討下さい



箱から出して準備をしましょう


広い場所で箱から時計を取り出しましょう。本体・振り子・おもりを取り出します。


おもりは落とすと大変危険です、小さいお子様が錘で遊んだりしないように十分ご注意下さい。

開梱後の箱は保管して頂くとメンテナンスの際に大変重宝致します。是非保管を御検討下さいませ。



まず初めに、時計本体の裏面のパネルを外します

内部を確認し、「PULL OUT」と書かれている赤いタグの付いているクリップを外します (このクリップは鳩の鳴声になる鞴(アコーディオンの蛇腹)を輸送時に動かないように留めてあります)


パネルについているベルの保護シートを取り外します

再びパネルを元に戻し、はずれないように裏面のツメで固定します


時計本体表面上部にある鳩が出てくる窓を留めている針金を上か下に回し扉を解除します


※重要  この時点ではまだ時計の下の紙袋はまだはずさないでください!!



時計を壁に掛けましょう


時計を掛ける際一番大切なことは時計の背面が垂直の壁にピッタリと付いていることです。


時計が垂直に設置されていないと振り子が本体と干渉し、動力が半減してしまい時計が止まってしまいます。


また本体が水平に設置されていることも重要です。振り子が均等に左右に振れるには時計本体の地面が限りなく水平であることをご確認下さいませ。



壁に固定済みのネジに本体裏面上部にある壁掛け用の穴をかけます。


時計の背面が壁についている事、時計が水平であることを確認します。


※壁のネジを水平に固定してしまうと鳩時計の背面が壁から浮いてしまう可能性がございます。

Vol.1の図のようにネジは斜め上向きに固定しましょう!



本体を壁に掛け終えたら時計の下にある紙袋を固定してある針金を外しチェーンを下に垂らしてください


※重要  針金を外した後は絶対に時計を移動したり横にしたりしないでください


こちらの針金は輸送中にチェーンが歯車から外れないように留めております。針金を外した後でどうしても時計を横にする必要がある場合はチェーンを一番上まで引き上げ、本体に一番近い部分のチェーンの穴に針金を通し、動かないように結んでください。時計の移動や、お引越しの再にも同じように針金を通してから作業して下さい。


振り子を所定の場所に掛け、おもりを一つずつチェーンのフックにゆっくりとぶら下げて下さい。






時刻合わせ、使用方法


錘式鳩時計 鳩時計の時刻合わせ編


ドイツの鳩時計は時計回りに時刻あわせを行ないます


※一部の大型の鳩時計には午後9時から午前8時まで自動消音にする機能が付いておりますので午前午後を踏まえながら現在時刻に設定してください 自動消音機能につきましては後述をご覧下さい


多くの一日巻き鳩時計につきましては午前午後の違いはありません。



時計の長い針(分針)をゆっくりと【時計回り】に回し、現在の時刻に合わせます

(短い針は触らないようにお気をつけ下さい)


鳩が出ている間は針を動かさないようにしてください。


現在の時刻まで距離がある場合は、一度消音レバーをオフにし、カッコーが出てこない設定で時間を進めるとスムースです。



設定後、振り子を指で左右のどちらかに押し時計をスタートさせて下さい

その後、継続的に振り子が動いていることを確認して下さい


一日ほど放置し、正確な時計より鳩時計に遅れが生じている場合は、振り子のバランスを上に上げて下さい。


(振り子のバランスをあげると振り子の速度が速くなり時計が速く進みます)


逆に進んでいる場合は振り子のバランスを下げて時間を調整して下さい

振り子は3mm~5mm程度ずつずらすと良いかと思います


設置当初は一日、二日、三日と段階的に時間を確認して頂き、振り子のバランスを出来るだけ正確な時間を刻む位置に調整して下さい


ある程度まで調整ができましたら、それ以上は鳩時計の振り子では刻むことができない精度となります。


あくまで5分刻みの時計でございますので、1分2分のゆらぎは日によって現れる現象です。




<自動消音機能について>


大型8日巻き鳩時計の一部に付いています



大型の鳩時計の中には午後9時から午前8時までの自動消音機能がついているものがございます。


上記の方法で時間を設定後に時計本体下部にある黒い ハテナ(?)型のレバーを操作して頂く事で簡単にセット可能です。


時計のからくり動作時に操作しないように御注意下さい



一番上:24時間 鳩からくり動作

真ん中:午後9時~午前8時 消音

一番下:24時間消音


鳩時計 自動消音についてのQ&A


Q. 9時過ぎても音が鳴ってしまいます

A. 時刻設定時に午前と午後を正確にあわせて頂いていない可能性がございます。

  時計を反時計回りに12時間戻して頂き、再度お試し下さい





ご使用方法・注意点について


最後におもり式時計のご使用方法や特に気をつけていただきたい点を記述致します 時計は進むにつれておもりが徐々に下がってきます。床についてしまうと時計は動力を失い止まってしまいます。

その際は時刻を再度合わせていただく必要がございますので、定期的にチェーンをひき、おもりを引上げるようにして下さいおもりを引上げる際にはチェーンのみを引っ張らずに、時計や壁に負担がかからぬようにおもりを軽く手で待ち上げながらチェーンを引上げるようにして下さい。

お子様などに一人でチェーンを引かせることは大変危険です、絶対に避けて下さい。

鳩の扉を無理に開いたり、からくりの人形や水車などを手で触ると故障の原因となります。

時計外部及び内部の清掃はOA機器用清掃のエアーブロアー(空気の缶)などを用い、埃を飛ばしたうえで清掃して下さい。(内部掃除の際にはかならずおもりを外し、チェーンを目いっぱいまで引上げた上、針金でチェーンを固定して下さい)

錘式の鳩時計を末永くお使い頂くためには定期的なメンテナンスが必要です。

お近くに鳩時計の調整が可能なお店が無い場合は私共にお問合せ下さい。

おもり式鳩時計の特性を十分御理解のうえご使用頂けます様宜しくお願い致します。

私どもでは販売前の情報のみならずマニュアルにも個々の注意点を記載しておりますが、お客様のご利用環境により不測の事態が起こりえます。

ご利用中の事故、損害につきましては弊社では責任を負いかねますので十分ご注意の上ご利用頂けます様宜しくお願い申し上げます。




価格について

本格的な鳩時計は様々な価格帯のものがございます
2万円前後から大型のホールクロック(大きなのっぽの古時計)になると数百万円台までと、この手作りで愛らしい鳩時計には多くのバリエーションが存在します

森の時計で扱う鳩時計も2万円程~ご紹介しております

この価格は内部の機械(後述)によって異なります

現代の機械が組み込まれたクォーツ式鳩時計(電池式)モデルは昔ながらの手巻き式(おもり式)と比較して安価になります。手巻き式時計の場合、内部機械の製造工程時の検査や調整に時間がかかり、また素材が高価なため電池式に比べると高くなるためです

ただ、手巻き式時計には独特な味や音色があり、現在でも趣味性が非常に高く愛着の湧く時計としてお探しのお客様が多くいらっしゃいます

一方で電池式時計は現在の暮らしに非常になじみやすく、時計の精度も高いため実用性を兼ねた時計として人気があります

森の時計では信頼性の高い鳩時計工房の鳩時計のみご紹介しておりますが、電池式鳩時計になりますとドイツ以外のメーカーでも作られている場合があります
かつては日本のメーカーもすべて国産の鳩時計を生産していましたが、現在では数は少ないかと思います


価格の一例ですが、

2万円前後 シンプルなクォーツ式鳩時計 小ぶりなもの

3万円前後 クォーツ式鳩時計 中間サイズ、からくり1か所等 、機械式鳩時計小ぶりでシンプルモデル等

5万円前後 クォーツ式(電池式)鳩時計、からくり人形が3か所動くモデルや、オルゴールなしの機械式鳩時計等

8万円~20万円 機械式鳩時計オルゴール付き1日巻、8日巻

20万円以上 機械式鳩時計、8日巻オルゴール付き 大型鳩時計など

などのラインナップがございます


ドイツ製の時計と聞くと100万円前後のモノを想像される方もいらっしゃいますが、実際には品質の良い腕時計と同じような価格帯であることがほとんどです。




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