「ある古い鳩時計のお話」
あるお客様が日本橋にある百貨店にご親族の形見である鳩時計を修理に持って行かれました。
しかし残念ながらすぐにその時計の修理は断られ、百貨店の紙袋に入ったまま戻されてしまいました。
どうしても、もう一度その鳩時計に時を刻んで欲しかったその方が私どものギャラリーに訪れたのは8か月前のことでした。
拝見すると、60年近く経つ小型で複雑な鳩時計、各部品はすでに朽ち果てる前の状態でした。
ご訪問されたいきさつや、お姉さまの形見であるお話を聞きながら鳩時計を見つめると涙がこぼれるような思いをしました。
もう半ば諦めながらもお持ち頂いたお客様。私たちは鳩時計屋としてどうしても直さなくてはいけない、使命を感じました
職人と何度も試行錯誤を重ね、挑戦しては失敗しなががらも、ついに先月その時計は時を刻み始めました。
この鳩時計は色々な思い出の時間を刻んできたことでしょう・・
様々な思い出がよみがえる音のように感じながら、ギャラリーで一人その音を聞かせて頂きました
来週そのお客様がまたギャラリーにご来店致します。
お客様の青空のような笑顔を見たら、また目頭が熱くなる思いをしてしまうと思います。
森の時計 代表 芹澤庸介
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